ゲッターロボ-The beginning- 011(第2章)
2008-05-26


「和子さん!?」
 和子の悲鳴に早乙女とリッキーが慌てて角を曲がる。
 二人は和子の腕を取る二人の男の姿を見て驚愕する。
 その男達は、あたかも人の姿を模したハ虫類のように見えた。
 二足歩行をするハ虫類がトレンチコートを着て、和子を襲っているのだ。
 和子を掴むその手は鱗で覆われ、鋭い爪が伸びている。
 人間の物では無い。 
 早乙女は男達の姿に一瞬怯んだものの、買い物袋に手を入れ茹で卵を掴むと異形の者に向かって投げ付けた!
「化け物! 和子さんを放しやがれ!!」
 茹で卵は異形の者の目にヒットし、砕けた。
 卵の殻がヘビのような男の目に刺さる。
「グギャァアアァァ!!」
 男は自分の顔を押さえると掴んでいた和子の腕を放した。
 和子はその隙に逃げ出す。
 早乙女の元に駆け寄った。
 リッキーが和子を庇うように前に出て、早乙女と並ぶ。
「和子さん! 大丈夫か?」
 早乙女の問いに、ガチガチと歯を鳴らしながら和子は頷いた。
 あまりの恐怖に声は出ないが、早乙女たちが間髪入れずに来てくれたため怪我はしていない。
「さ、早乙女!! 何アレ? ば、バケモンだよ?!」
 トレンチコートの男達と相対して、まじまじとその顔を見たリッキーが驚きの声を上げた。
「ああ。オレにもそう見える」
 短気でキレ易いが、こういう異常な事態になればなるほど先ず冷静になるのが早乙女である。
「まるでハ虫類……ヘビだワニだというより……恐竜人間みたいだな、ありゃあ」
 そう、恐竜。
 人間サイズの小型の恐竜が、二本足で立っているというのが的確である。
「こ、子供が…………子供が……」
 恐怖に脅える和子が声を何とか絞り出し、震える手で草むらを指差す。
 草むらを見た二人の目に首と胴体の離れた子供の死体が目に入った。
 裂かれた胴体からは内臓が飛び出している。
 〓〓酷い!!
「きさまらぁ!!!」
 怒りに目の前が真っ赤になった早乙女が動き出す前に、恐竜人間は動いていた。
 草むらに目を移した一瞬の隙を狙われたのだ!
「キシャァァアアア!!」
 奇声のような叫び声を上げ、目の前に立っていた二匹の恐竜人間が早乙女に飛び掛かった。
 一匹は3メートル以上飛び上がった上空から、一匹は地を這うように足元から襲いかかる!
 速いっ!!
 早乙女は片足を軸にして回転しながら上体をひねるように一匹を交わすと同時に、足元を狙って来た一匹を蹴り上げた。
 宙を飛んで来た一匹の爪が除けきれなかった買い物を裂き、おにぎりや惣菜を地面に散らばせた。
 二匹のあまりの素早さに早乙女の反応がコンマ数秒遅れたのだ。
 リッキーは買い物袋を放り投げ腰に差していた二本のトンファーを取り出すと、その片方で早乙女が交わした一匹の顔面を打ち抜いた。
 グシャッ!!
 骨が砕ける鈍い音と共に、恐竜人間の顔がメリ込んだ!
「ギャァァァ!!!」
 叫び声を上げてのたうち回る恐竜人間。
「リッキー! 後ろ!!」
 トンファーで一匹を打ち抜いたリッキーの背後に子供を喰らっていた一匹が飛び掛かるのを見て、和子が叫んだ!
 恐竜人間の鋭い歯がリッキーの首筋を狙う。
 ガキッッ!!
 リッキーは振り向かぬままにただ腕を上げ、首筋をトンファーでガードする。
 恐竜人間の歯は鉄製のトンファーに噛み付き、折れた。
 リッキーは噛み付かれたままにトンファーを恐竜人間ごと振り回す。
 宙を泳ぐ恐竜人間。早乙女がハイキックをブチ込んだ!
「グギャ!!」
 何というコンビネーション!!
 不意を突かれた事を意にも介さない程、早乙女とリッキーの息は合っている。
「早乙女、何よコイツら?!」
「オレが知るか!!」
 こんな化け物共の事など知る訳が無い。

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[ゲッターロボ・二次小説01]

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