ゲッターロボ-The beginning- 011(第2章)
2008-05-26


唯一つ解っているのは、この異形の者共が明らかに自分達に敵意を持って襲って来ている事だ。
 しかもこの異形の者共は、尋常じゃ無い程の身体能力を持ち合わせている。
 少しでも気を抜けば、早乙女たち三人は瞬く間に草むらに転がる少年と同じ姿になってしまうであろう。
 この状況は兎に角不利だ。
 早乙女とリッキーだけならまだしも、和子を守りながらでは思う様に戦えない。
「和子さん、逃げろ! 逃げるんだ!!
 ここはオレ達がなんとかする!!」
 背中越しに和子に声を掛ける。
 和子は恐怖に震えながらも軽くうなずくと、踵を返し、走り出す。
 二人の足手まといにならぬよう和子は必死で走った。
 逃げ出す和子の姿を見付けた恐竜人間は、そうはさせじと和子に向かって跳んだ!
「させないよっ!!」
 リッキーがトンファーの握りを変える。
 突き出すように伸びたトンファーの先で跳躍する恐竜人間の腹を打ち抜く!!
 が、
「うわっ!!」
 トンファーの先端は、かすめただけだ。
 リッキーは足に激痛が走ってバランスを崩したのだ。
 足元に倒れていた恐竜人間が、リッキーの足に噛み付いていた。
「このぉ!!」
 リッキーは噛み付く一匹にトンファーを打ち下ろす!
 恐竜人間は素早く離れ、それを交わした。
 先程のリッキーの一撃で陥没しているとは思えない程の素早さである!
 人間なら確実に死んでいる筈の一撃を喰らっていても尚、奴等は俊敏に動くのだ!!
「……嘘でしょ?」
 不死身とも思える異形の者達の生命力に、リッキーは絶句した。

 リッキーが逃した和子を追う一匹を追い掛けようとした早乙女だが、トンファーで歯の欠けた恐竜人間に阻まれてしまった。
 鋭い爪が矢継ぎ早に早乙女を襲う。
 早乙女の衣服は裂け、頬には細かい裂傷が増えて行く。
「きゃぁあ!!」
 和子の短い悲鳴が上がった!
 和子が恐竜人間に殴打され、激痛に気を失ったのだ!!
「和子さん!!」
 和子の悲鳴に反応が遅れた早乙女が、歯の欠けた一匹の一撃を腹部にもらってしまう。
「ぐえっ……」
 内臓がえぐられるような一撃!!
 早乙女の腰が沈む。
 早乙女は歯を食い縛りその一撃に耐えた。
 恐竜人間は間髪入れずに早乙女の顔面を狙う!
 早乙女はさらに腰を沈め、空を切った歯欠けの一匹の腕を取り、そそまま背負い、投げた!!
 一本背負いが綺麗に決まった!
 和子を殴打した一匹は、和子の胸倉を掴みその首筋に牙を立ている。
「きさまぁ!!!」
 早乙女は二つの下駄を手にすると、和子を襲う一匹に向かって走り出すと同時にそのひとつを投げ付ける。
 投げ付けた下駄が恐竜人間の頭にヒットした。
 和子を襲う一匹が、振り返る。
 その振り返りざまに目掛けて早乙女は下駄を手にしたまま殴り付けた!
 それは走り抜ける加速の付いた、文字通り必殺の早乙女下駄パンチ!!
 宙に舞う恐竜人間。
 早乙女はその隙に和子を引き起こし、原っぱに積まれている土管の影に和子を寝かせた。
 和子の頬には殴打された跡が痛々しく腫れ上がっている。
「和子さん! 大丈夫か?! 和子さん!!」
 和子の肩を軽く揺すり、早乙女は声を掛ける。
「う……うぅ……」
 息はある。
 早乙女は安堵の溜め息を吐くと、怒りに我を忘れた。
 和子を襲った奴と歯欠けの二匹が、土管の影に居る早乙女たちに向かってにじり寄って来る。
「きさまらぁあああぁ!!!!」
 早乙女は立ち上がると、怒りにまかせ積まれている土管を一本持ち上げ始めた。
 直径1メートル30センチ、長さ5メートル程のコンクリート製の土管である!
「うおぉぉおおおお!!!」
 両腕の筋肉から血管が浮き上がる。
 早乙女は抱えるように、その大きな土管を持ち上げた!
「喰らいやがれェ!!」

続きを読む
戻る
[ゲッターロボ・二次小説01]

コメント(全1件)
コメントをする


記事を書く
powered by ASAHIネット