ゲッターロボ-The beginning- 003(第1章)
2007-10-29


*** 

「リッキー! 何でヤクザとの事、バラしたんだよ!」
 早乙女は涙目になりながら、リッキーの胸倉を掴んでいた。
「アタシじゃ無いって、事故よ、事故。噂話を和子が耳にしちゃったんだってば。
 大体さ〓、隠し通せるワケ無いじゃない」
 リッキーは、早乙女に揺さぶられながら苦笑いをする。
「そ〓かぁ、そりゃそうだよな。
 ……どうしょうリッキー。コレでもう正座で説教一晩中コース、決定かも。
 和子さん、怒らせると怖いんだよ〓」
 ヤクザ組織を壊滅させたとは人物とは思えない程の情け無い声を出し、早乙女はうなだれた。
「わはは、知ってる」
 リッキーは苦笑いをするしか無い。

 早乙女は、頭脳明晰でスポーツ万能。正義感も強く、それはもう超人的ヒーローのような資質を持った男である。
 文武両道を地で行くような熱血漢なのだ。
 が、いかんせん。天は二物を与えず。
 直情的な短気さ・短絡さの性格と、いまひとつ寸足らずな背格好、不細工とは言わないが美男子とは言い難い容姿が相まって、残念ながら女性からの評価はイマイチである。その分、野郎共からの人気は絶大な物を誇るのだが。
 そんなこともあり、全身全霊を込めてようやく口説き落とした相手である和子に対し、早乙女は情けない程に頭が上がらないのだ。
 そのくせ頼まれたら嫌と言えない性分と、騒動事には喜んで顔を突っ込む悪癖のため、毎度飽きもせず和子を怒らせては平謝りの日々なのである。

「仕方ない、とっととレポート終わらせるかぁ……
 竜崎の奴が居ないから、大変なんだよなぁ」
 早乙女がうなだれながら研究室に戻ろうとすると、背中越しに声がした。
「早乙女の旦那!」
 先程早乙女にノされたチンピラたちがいつの間にか息を吹き返したのか、早乙女を囲んで片手を突き出し、控えている。
「なんだ、あんたらまだ居たのか。もう帰っていいぜ。靴は脱いで行けよ」
 早乙女はチンピラを追い返すように元気無く手をひらひらとさせる。
「いえ! 羅王組を壊滅させたという旦那の拳、味合わせていただき確信いたしやした!
 アッシらが頼るのはこの方しか居ないと!!」
「はぁ?」
「アッシら組の一大事、ぜひ御助力いただきたくたく……参上ちかまりました次第れ…でっ!」
 顔に二の字の下駄の跡を付けたチンピラは呂律が回らなかったようで、自分で舌を咬み、悶絶した。
「アニキ!」と声を上げ、二人のチンピラが介抱する。
 なんだコイツら?
 早乙女の脱力感に輪が掛かる。
「なんだい、早乙女? よく解んないケド、面倒ならアタシがコイツらおっぽり出してやろうか?」
 リッキーがポキポキと指を鳴らした。
「そ、そんな姐さん、滅相も無い! 旦那に御迷惑を掛ける気などさらさら……」
 二の字跡のチンピラが舌でも切ったのか、口からダラダラと血を流しながら、ぶるぶるぶると首を振る。
 あまりに激しく振るものだから、口から流れてる血がピッピッと四方に飛びまくる。
「あ、姐さん? アタシが?」
 呆気に取られるリッキーだが、早乙女は早乙女で呆れ果てた。
「何のつもりだか知らねーけど、どーせ面倒事頼みに来てんだろ? 迷惑を掛けるつもりは無いも何もねーだろーがよ」
「いや、御高説ごもっとも!!」
 チンピラは早乙女に食い入るように顔を近づけ返事をした。
 あまりにも大きな声で返事をしたため、ぶばっ!と早乙女の顔にチンピラの唾が掛かる。
 唾液に混じった血も掛かる。 
 早乙女はムッとしながらそれを拭った。
「ですが旦那!」
 チンピラはさらに早乙女にのし掛かる程に顔を近づけ、大きな声で唾を飛ばしながら喋り出した。
 チンピラの飛ばす血混じりの唾が、イヤと言う程早乙女の顔にひっ掛かる。
「ここで旦那に助けていただけないと、アッシら組は壊滅の危機でありまして!

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[ゲッターロボ・二次小説01]

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