ゲッターロボ-The beginning- 004(第1章)
2008-03-22


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「う〓ん……」
 研究室の床に寝かされていたチンピラヤクザが目を覚ます。
 が、起きるなり「うわ〓〓〓〓〓〓〓〓〓!!!」と叫び声を上げて、再び泡を吹いて失神してしまう。
 それはまるで、世にも恐ろしい何かを見たかのような絶叫だった。
「……早乙女君、なんだねコイツは?
 人の顔を見るなりまた気絶しおったぞ」
 敷島教授がチンピラヤクザを覗き込んでいたのだ。
「いやぁ、ソレは無理も無いかと……」
 早乙女が苦笑いをする。
 敷島教授〓〓早乙女が通う大学院で教鞭を取る、早乙女の師匠とも言える人物である。
 敷島自身が過去に行った実験の失敗による事故が原因で、その顔の半分は焼けただれており、引きつった筋肉が左右の目の大きさを変えてしまっているのだ。
 そんな敷島の姿が不意に視界に飛び込めば、気を失ってしまうのも無理は無い。
 デブとヤセの二人のチンピラがあわてて介抱すると、顔に二の字の下駄の跡を付けたチンピラが、ようやく息を吹き返した。

 彼の話の内容はこうであった。
 早乙女がこの地域で一番力を持っていた<羅王組>を壊滅してしまったために、この地区のヤクザ組織の空洞化が起こり、全国支配を目論む広域暴力団が手を伸ばして来たのである。と。
 地元密着型の小さなヤクザ組織である自分達<青空組>は<羅王組>とは不可侵の条約を結んでいたものの、<羅王組>が壊滅してしまった今、その広域暴力団<天地会>は非道な手段を用いて<青空組>のシマを取り上げようといているのだ。
 そのためにも、少しでも腕っぷしの強い構成員を探していた所、街中で暴れている竜崎という男を見付け、スカウトしたのだという話である。
 つまるところ話の大元としては、ヤクザの縄張り争いが起因するらしい。
 そしてその起因には、早乙女も無関係では無いとの意味合いを含んでいた。

「でもね、早乙女の旦那。聞いてくださいよ。
その竜崎って野郎はムチャクチャな野郎で、普段は大人しいんですが突然暴れ出しては組の机や壁、そこら中の物を壊しまくるし、兄貴分のオレらの言う事なんざ聞きもしねー、手の付けられないとんでもねーヤツだったんですよ。
 ハジキが飛び交う中も平然と突き進みやがるんで、そりゃ天地会との小競り合いの時なんかには役に立ちましたけど、一旦暴れ出すとそこらに居るカタギの人間にまで無差別に手を出して、殺しちまうんじゃねーかって騒動も一度や二度じゃすまねーって始末でして。
 この間なんざ、それじゃ流石にマズイだろってんで、組長に頼んでそんな竜崎をいさめてもらおうとしたら、逆に顎の骨を砕かれましてね。組長、今入院なさってるんですよ。
 本来、親に手ぇ上げたそんな野郎は破門どころかコンクリ詰めにして海にでも沈めちまうトコロなんですが、なにぶんこんな状況ですから力のある駒は欲しい。と、組長も寛大なお心を示してくださった。
 なのに、組長不在をいいことに『天地会に対抗するには今の組長じゃ生温い』なんて一派が、竜崎の奴を祭り上げ始めちまいまして、ウチの組、もう今メチャクチャなんでさ。
 組長に大恩のあるアッシらにしてみれば、この組の一大事に指をくわえて黙っているワケにも行かず。
 そんな時に早乙女の旦那のお噂を聞きつけ、お知り合いでもある竜崎の奴に、ガツンと一発お灸をすえていただけねーモンかと。
 こうして頭を下げにお願いしに来た次第であります。
 それにしてもあの竜崎って奴ぁ、何ですかね、バケモンってでも言うんですかね?
 刀で切りつけられても、切りつけた刀の方が折れちまいますし、とうてい人間とは……」
「ああ、もういい。わかったから」
 このチンピラは、本来緊張さえしなければきっと大阪のオバサンみたいなオシャベリな性格なのであろう。

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[ゲッターロボ・二次小説01]

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